- 調査目的
- 労務管理上の諸問題への支援を行うため、社会保険労務士に改善事業推進委員が同行し、各事業所の問題点・課題等を明確化し、今後の取組の向上に向け巡回指導を資する。構成事業主の労務環境の整備を行う。
- 対 象 者
- 鳥取県板金工業組合所属構成員
- 対象事業所数
- 77社
- うち巡回指導事業所数
- 22社
- 指導期間
- 令和1年10月1日(火)~令和1年10月31日(木)
各事業所の現状、「働き方」(就業時間と休憩時間や就業日数、就業規則・36協定などの書類の内容)を見ながら社会保険労務士からの指導を行いました。多くの事業所で問題点・課題が多かったケースを紹介します。
時間外労働について
労働時間についての問題点
ケース1.
季節や天候に左右される業種なのでどの様に労働時間を管理すればいいか?
(例)
労働時間:8:00~17:00
昼休憩:60分、休憩:午前15分、午後15分
就労時間:7時間30分
出勤日:月~土(土曜日の5時間が週40時間を超え時間外労働になる)
労働時間:8:00~17:00
昼休憩:60分、休憩:午前15分、午後15分
就労時間:7時間30分
出勤日:月~土(土曜日の5時間が週40時間を超え時間外労働になる)
A. 社会保険労務士からの指導
このような業種では1年間で労働時間を管理する※変形労働時間制をとっている事業所が多いです。繁忙期に出勤日数を増やし、雪の降る時期などに休みを増やし年間で労働時間を管理するため時間外労働を減らすことができます。
1年単位の変形労働時間制を新規に採用するには
- 労使協定の締結及び所轄の労働基準監督署長への届出
- 就業規則その他これに準ずるものの変更
※1年単位の変形労働時間制とは
1か月を超え1年以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じた労働時間を配分することを認める制度です。ただし、変形労働時間制の場合でも法律で規定された労働時間を超えた分は残業代として支払わなければなりません。
1か月を超え1年以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じた労働時間を配分することを認める制度です。ただし、変形労働時間制の場合でも法律で規定された労働時間を超えた分は残業代として支払わなければなりません。
建設業…
2024年4月までは時間外労働上限規制に猶予がありますが、直前になって改善をすることができないので今から取り組む必要があります。
ケース2.
深夜に時間外労働がある場合や深夜労働の場合賃金はどうなりますか?(22:00~5:00)
A. 社会保険労務士からの指導
- 時間外労働割増賃金+深夜労働割増賃金
- 深夜労働割増賃金
※深夜労働に携わる人には半年に1回の健康診断を受診させることを義務づけています。
従業員の健康診断の結果に異常の所見がある場合、事業主が医師に会って通常通り働く上で気を付けることについて医師の意見を聞かないといけません。事業主は健康診断の結果に異常のあった従業員に再検査を受けるよう指導してください。
ケース3.
労働時間の管理について気を付けるところはどんなことですか?
A. 社会保険労務士からの指導
タイムカードでなくてもよいが、出退勤の時間を必ず記録する。
従業員が出勤簿に手書きで書く場合、事業主が労働時間について押さえつけることをしてはいけません。従業員の不利にならないように気を付けて下さい。
朝の現場に行く前の準備、現場から帰って片付け、移動時間も労働時間です。
現場から自宅へ直帰の場合は現場を離れた時間が終了時間です。
労働時間の管理は事業主の責務になります。
ケース4.
従業員が少ないので(10人以下)就業規則の作成をしていません。
就業規則は10人以上の事業所は作成・届け出の義務がありますが、10人未満の事業所は作成しなくて良いと言うことではありません。会社を守るために作成しておくべきです。 就業規則は従業員に周知することで初めて効力が出るので、いつでも見えるところに置いておかなければいけません。
就業規則を作っていますが、古くなっています。
内容を変更しているところもありますが、従業員には口頭で伝えているだけで変更していません。
内容を変更しているところもありますが、従業員には口頭で伝えているだけで変更していません。
就業規則も法改正及び事業所の状況で変わってきます。変わった時点で就業規則を見直し変更しなければなりません。労働時間等に変更があった場合は、労働条件通知書も取り交わしておきましょう。
年5日の年次有給休暇の確実な取得について
年次有給休暇についての問題点
年次有給休暇取得ができている事業所もあったが、年次有給休暇の取得が進んでない事業所が多かった。
理由としては
- 忙しくて年次有給休暇が取れない。
- 年次有給休暇をとるように言っても従業員が言ってこない。
- 基準日がバラバラで管理しにくい など…
A. 社会保険労務士からの指導
2019年4月以降は、事業主は労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時期を指定して年次有給休暇を取得させなければならなくなりました。
対象:有給休暇が10日以上付与される従業員
本人請求と計画的付与の取得日は5日から控除できます。
●就業規則※に計画的付与制度を規定し前もって計画的に年次有給休暇を取得する日を決める。(労使協定の締結)
詳しくはこちら
●時期指定に当たっては、事業主から従業員に年次有給休暇の希望を聞きかなければならない。そして、その意見を尊重し年次有給休暇の時季を指定する。
(就業規則に規定する…規定してないと罰則あり)
詳しくはこちら
●基準日がバラバラで管理しにくい場合は基準日はそろえることはできる(基準日を統一する場合、従業員の不利にならないように前倒しで有休を付与する)
詳しくはこちら
●年次有給休暇管理簿を作成(3年間の保存)
上司や同僚に気兼ねなく年次有給休暇を取得するため、また年次有給休暇の取得を促進するためには、職場で年次有給休暇の取得計画を作成し、各人の休暇取得予定を明らかにすることが効果的です。さらに、計画を実効あるものにするためには、年次有給休暇取得計画の実施状況チェックや業務体制の整備も重要です。
- 入社日
- 基準日
- 繰越有給日数
- 今年度付与日数
- 有給休暇取得日 記入する